#第十章
ひとりで砂浜に座って彼女が集めた貝殻の入ったボトルをあけた。
その中で彼女が気に入っていた貝殻をひとつ手にとり、そっと手でつつんだ。
そうしたら彼女が海に消えていく様子が見えるようだった。
彼女は夜の砂浜に座って、さざ波を聞き、風でゆれるやしの木の音にも愛しいものを見るように目を細め歌っている。
彼女にとってショーンは海だった。
そして彼女は彼のために歌を歌い泡になった。
彼女は彼とひとつになった。
私は海を見ながらひたすら泣いた。
涙で目がかすもうとも、私は必死で海を見つめた。
ニーナは人魚で、ショーンは海で。
それじゃあ私は、何だろう。
ニーナにとって私は何だったの?
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