#第六章





ニーナ、何があったの?まるで何日も食べてないみたい。


彼女は何もぬっていない唇を少しだけ動かした。


彼が死んだの。


彼っていうのはショーンのこと。


すごく格好いい、って女の子たちに人気だった。


でも私の知る限りで最低な男だった。


ショーンとニーナは付き合っていた。なのにショーンは他の女の子とも遊んで、平気でキスをするような男。


私には彼のどこがいいのかわからなかった。それと、そんな男のためにニーナが何日も泣いていたことも。


彼女はその場で声も出さずに静かに泣き続けた。


ねえアリシア。私、彼なしでどうやって生きていけばいい?彼女がかすれた声で呟く。


前は砂浜の星砂が手からこぼれ落ちるような澄んだ声だったのに。