#第七章





私は彼女を海に連れて行った。


昔よく2人で出かけた海。決してキレイではなかったけど私たち2人にはどうでも良かった。


私たちはただ、砂浜に座って沈んでいく夕陽を見つめた。


ニーナ、どうして彼なの?彼女ならもっといい男の人と付き合って幸せになれると思っていたのに。


彼しかだめなの。彼じゃないとどうしてもだめなの。


彼女の泣きつかれた顔は、夕陽に照らされてオレンジ色に染まっている。


ニーナ。私、あなたに会えて本当に良かった。私は独り言みたいに言ってみた。


アリシア、私もよ。少しだけ、彼女が笑った。それが私の見た彼女の最後の笑顔だった。